裏庭の鶏

映画と本と、時々舞台

『ゴーストバスターズ』 感想

 今風にアレンジされたリメイク版『ゴーストバスターズ』は絶妙なくだらなさがたまらなく面白かった! お馴染みのメロディーとロゴをスクリーンで楽しめたし、思わず笑ってしまうような要素も盛りだくさんです。
 個人的には発明家のホルツマンがクレイジーすぎて大好きです(笑)


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●感想(ネタバレ注意)
 前作のゴーストバスターズを見ていたので上手くアレンジされていて正直オリジナル版よりも笑えました。たぶん今風のアレンジによって設定が受け入れやすくなったのが一番の要因だと思います。

 具体的に言えば悪役の在り方とNY市民のゴーストに対する意識。この二つはオリジナル二作を見ていて少し違和感があったので今回はうまく料理していたと思いました。おかげで面白いのに設定に関して首を傾げてしまう場面が少なかった(笑)


 さて、本作の主人公は前作と打って変わって全員女性です。最初にそれを聞いた時「フェミニスト映画かな」と思ったのが正直なところだったんです。もともと男性四人のストーリーをわざわざ女性に変更するのは何か意味でもあるのかな、と思いました。もちろん強い女性が輝く映画は好きなのですが、それを押し付けるような映画は「押しつけがましい!」と思ってしまうんですよね。嫌いではないのですが塩梅が難しいなあと思います。
 閑話休題。そして蓋を開けるとメッセージ性なんてかけらもなかった(笑)

 確かに出てくる女性は皆強い。強いけど所謂「女性だって強い、輝ける」みたいなメッセージがあるんじゃなくて、物理的に強い。
 マーベルやスパイ映画の女性みたいなスタイリッシュであったりセクシーであったりするような美女が物理的に強いとその美しさに見惚れてしまうんですが……。なんだろう、ギャグ要素が強いから物理的強さが完全にギャグでした。

 あえて女性にしたのも面白さを追求、もっと言えば前二作との対比としての面白さを追求した結果だった様に思います。


 私が面白いと感じた二つのアレンジについて、その一つである悪役の在り方はより現代的だと思いました。

 今回の悪役であるローワンは人間嫌いで彼自身嫌われ者です。そんな彼がくだらない世界を破壊するためにゴースト達を使おうとするんですね。
 確かローワンはそれを語るときにゴースト達に「復讐しよう」といったことを語りかけていたように思います。もちろんローワンはゴーストの復讐に付き合うために行動しているわけではないのでしょうが、おそらく彼の動機は「復讐」です。
 一方でオリジナル版はどうだったかと言うと、破壊神ゴーザやら大魔王ヴィーゴやら。それはそれで面白かったのだけど、舞台を現代にするなら敵は悪意ある人間であった方がしっくりくる。

 もう一つのアレンジである市民のゴーストに対する態度。前作だとゴーストバスターズがビジネスとして成功していた(少なくとも一作目では)のです。そしてゴーストバスターズも市民から受け入れられていたわけで、そこが大きな違いでした。今回のゴーストバスターズはビジネスとしては失敗していますし、なんなら政府からの要求でペテン師集団とレッテルを貼られてしまいます。
 と、ここの部分はギャグとしても面白いシーンでした。「ありがとう、助かったわ!」と本気で感謝しているのに次のシーンでは「逮捕されて頂戴。でも本当の逮捕じゃないから安心して」と四人を拘束。ちょっと待て(笑)

 ともかく、ゴーストの存在は公には徹底的に否定されるのです。最終的にはひっそりと彼女らの活躍な認められるのですが……モンスターを捕獲するシーンではそれがライブのパフォーマンスであるかのようにされるんですね。映像で発信されても誹謗中傷のコメントが残されるという徹底ぶりです。
 それもなんだか現代っぽい演出だなあと思いました。現代人がやすやすとゴーストを信じるのもなんだかなあって思いますもんね。オカルトブームってわけでもないですし。


 そんな二つのアレンジの中で、繰り広げられるシリアスに見せかけたくだらないストーリーがなんとも面白い。基本的にギャグで成り立っているストーリーなのですが、その中にあるエレンとアビーの幼馴染二人の友情がギャグだけにせず「締める」部分としての役割を果たしていました。別に感動はしませんでしたけど、多分感動させるつもりもないんじゃないかな。ギャグ映画の中のロマンス要素と同じぐらいの気分で見てました。
 
 ラストもすっきり終わって見終わった後に「面白い映画見たー!」と満足感がありました。

 あと、忘れてはいけないのがこの作品に登場する前作の要素。個人的に毎回出てるいつも何か食い散らかしてる緑のゴースト(名前がわかりません)が出てきたのと前作のオフィスが登場したのが笑ってしまいました。緑のゴーストは言わずもがな(またお前か)、オフィスは「またここにオフィスを構えるのかな?」と期待させてからの「高くて借りられなかった」オチ。そしてマシュマロマン。オリジナル版を見て一番笑ったのがマシュマロマンだったのでこの再登場は嬉しい!
 それから、カメオ出演! ちょっと嬉しくなる演出でしたね。でも少しクドいような(笑)
 最後に、続編でも作るつもりなのか、それとも前作へのリスペクトなのかエンドロールの後に「ズールって何?」というやりとりもありましたね。……作るつもりならズールやらゴーザやらをどう処理するのか気になります。


 そんなこんなで大満足の映画でした。以下、キャラクター別感想になります。ちなみに私が一番好きなのはホルツマンです。

● エリン・ギルバート(クリステン・ウィグ
 主人公ポジの科学者。初っ端からゴーストにゲロヘドロぶっかけられたりしてて体張ってるなあと思いました(笑)
 そして四人の中でぶっちぎりに可愛かった。何がって、キャラクターが。

 最初のオカルトにハマってたのは黒歴史!と言わんばかりでした。ちょっと無理して澄ましてるエリンですが、ところどころ残念な感じです。
 それなのにアビー達についていった幽霊屋敷でゴーストに遭遇すると興奮気味に「ゴーストは存在した!」と嬉しそうに叫ぶシーンはうんうんそうだね良かったね、と可愛らしさすらありました。しかしその様子が残っている動画を見られた直後の「なんのことだかさっぱり。え、これ?私じゃないですよ」とでも言いたげな作り笑い。ツボでした。

 開き直ってゴーストバスターズを開業するとアビーと並ぶリーダー役……のはずなのですが、イケメンなケヴィンの前ではポンコツになってしまうエリンです。ポンコツ具合がなんともツボでした。
 初対面のケヴィンにニコニコ笑って何も聞かずに「採用♡」と即答するのが可愛いんです。そしてケヴィンが相当なバカだと分かると真面目な顔で「観賞用に採用したい」発言。観賞用って(笑)

 他にもレストランのガラス張りの窓をドアだと勘違いして開けようとするシーンなど、四人の中ではブレーン担当……になるはずなのに、どうにも締まらないんですよね。けれどエリンはいつでも本気なんです。慌ててるからレストランの窓をドアと勘違いしちゃうし、つまみ出される時はそうされまいとテーブルを掴んでそのままテーブルごとずるずる引っ張られちゃう(ここも地味にツボ)わけです。そこが笑える部分でもあり可愛い部分だと思いました。


●アビー・イェーツ (メリッサ・マッカーシー
 エリンと並ぶリーダー役。彼女はブレないです。エリンと出会って仲良くなりオカルト本を作り、そしてゴーストバスターズを開業するまでブレを感じさせない。精神的なリーダーはきっと彼女だろうと感じました。
 彼女のシーンで一番笑ったのは「空気の抜けた風船」みたいになってるところでしたね。ホルツマンがそう言ってからもう風船にしか見えなかった。

 あと、体を乗っ取られたアビーは表情を変えないものだからなんだか作り物みたいでした。ちょっとアンドロイドっぽさを感じる。乗っ取られたからアビーではなくなってしまったにしろ、アルカイックスマイルのまま仲間を窓から落とそうとしたり首をしめたりする姿は人ではない何かになってました。
 というか、首がぐりんと回転するシーン、怖いよ!(笑)

 でもアクの強いアビーですが、彼女が四人を繋げているような気もします。四人の中では目立つ割に印象が薄いという不思議な感想を抱いたのですが、四人を繋げる存在だったと考えるとそれも納得かも。


●ジリアン・ホルツマン(ケイト・マッキノン)
 クレイジーだった。個人的にはホルツマンに一番心奪われました(笑)

 比較的きれいな顔をしていたけど気だるげににたりと笑って反応に困るような事をサラッと口にしたり空気を読まずに行動したり……。「あっ残念な美人だ」と思った第一印象は間違ってなかったのだと何度も笑わせてもらいました。ちなみに多分彼女の言動に一番翻弄されてたのはエリンでした。エリンの反応含めてだいぶ笑った。
 そんな圧倒的に異彩を放つ彼女は美味しいキャラクターでしたね。ホルツマンの何考えてるかわからない感じ……というか何も考えてなさそうな感じ、大好きです。

 彼女ってアビーの仕事仲間なんですけど、アビーの親友がエリンならばホルツマンはアビーの悪友兼相棒といった感じ。二人でパンパンと手と手を打ち鳴らしてから幽霊屋敷に向かうシーンでは某漫画のピシガシグッグを思い出したというか……。たまに洋ドラとか洋画とかで見るあの動作、何なんでしょうか。なんとなく若者(学生ぐらいの)がやっているイメージなのでおばさん二人がそれをやっているのはシュールでした(笑)

 それから忘れてはならないのが彼女の戦いっぷりです!
 ただでさえマッドサイエンティストっぷりが凄まじいのに戦闘シーンはなんかスタイリッシュ(キャラクター比)なんですね。二丁拳銃をべろっと舐めてゴーストを倒していくのがなんともかっこいい。まさかゴーストバスターズでかっこいい戦闘シーンを見ることになるとは思ってませんでした(笑)

 またケイト・マッキノンさんのクレイジーな役を見たいなあ、なんて思ってしまうぐらい「キャラクター」も「演技」も印象深いホルツマンでした。


●パティ・トラン(レスリー・ジョーンズ)
 バスターズのまとも枠。しかし叔父さんの霊柩車を勝手に持ち出すあたりやっぱりまともじゃない。
 霊柩車の件を除けば一番こちら側のキャラクターだと思いました。彼女の肩にゴースト(モンスター?)が乗っかっちゃったシーンは劇場でも笑いがもれてましいましたね。巻き込まれ型な感じ。きっと誰よりもパワフルな巻き込まれ型(笑)

 乗り移られたアビーをビンタで正気に戻すシーンの力強さ、半端じゃないです。本当に痛そうで痛そうで……笑ってしまいました。
 その割に結構なビビリだったりするのでギャップもまた面白いです。多分オリジナル版のパティにあたる彼もビビリ(だったような気がする)だからこそのキャラ付けだったのかな、なんて思いました。

 で、霊柩車の件は叔父さんと和解できたのでしょうか(笑)というか霊柩車に遺体があったのかどうか気になる……(笑)


●ケヴィン(クリス・へムズワース)
 ただの馬鹿とってもハンサムですね!
 彼のギャグは少しやり過ぎで笑えない部分でもあったのですがロゴのくだりとかコーヒーのくだりとか、あとどちらの写真(笑)がいいかとかのシーンが凄く面白かった。

 最初はイケメンの無駄遣いだなあと思ったのですが、この笑いはイケメンでないと成立しませんね。彼の最高にかっこいい(?)瞬間はエンドロールです。


 多少キャラクター別感想に偏りが出ましたが、どのキャラクターも魅力的でそのどれもが合わさってストーリー全体の面白さが出ていたように思います。
 Blu-ray、DVD含めて最近見た映画で一番笑ったかも。続編が出たらまた見たいし、久々に3Dで見たいと思った作品でした。他に見たい映画があるから3Dで見ることはないでしょうがきっと3Dで見たら無駄に映像に迫力があってもっと面白いに違いない!


●スタッフ
監督・共同脚本・製作総指揮: ポール・フェイグ
共同脚本: ケイティ・ディッポルド
製作: アイヴァン・ライトマン
製作総指揮: ダン・エイクロイド
撮影監督: ロバート・イェーマン
美術監督: ジェファーソン・セイジ
視覚効果スーパーバイザー: ピーター・G・トラヴァース
衣装デザイナー: ジェフリー・カーランド
音楽: セオドア・シャピロ

ジャンプ『約束のネバーランド』第三話 感想(ネタバレ注意)

 第三話はこれまで疑問に思ってたことがいくつか明らかになったので驚きました。展開早いな~と思いつつ、週刊誌ですからこれぐらいがちょうどいいのかも。


 前回はあえて子供たちの前で探査機を取り出して「宣戦布告」をして見せたママを敵であることを認識したエマとノーマンでしたが、今回のメインはママとエマの心理戦! 
 ママは出荷の日に鬼を目撃した二人組がエマとノーマンであることに気が付いているのか? そして脱出計画には気が付いているのか? 
 
 心理戦と言ってもお互いに探り合っているだけなのですが、エマの顔をのぞき込むママの顔、怖いですね。ぞっとしているエマですが、なんとか普段通りに振る舞います。恐怖を表情に出さないだけでなく脈拍すらも正常範囲におさめるエマちゃんにはびっくりですよ。反対にノーマンはその様子を見て分かりやすく顔を青くさせているし、案外プレッシャーに弱い一面がある……かもしれません。
 レイが食事の時間を告げにきたことにより探り合いは一旦終了になるわけですが、レイはまだ本筋には関わってきませんね。彼は主要キャラだと思っていたのですが。まだ三話ですからもう少し後になるのでしょうか。


 そして最後は視点がママに切り替わります。なんとびっくり、ママの首筋にはナンバーが。そして「生き残るのは私よ」と険しい表情に。

 ママもハウス出身の食肉用人間だったということでしょうか。考えられるのは「ママ」になれるのはハウスから一人、一番優秀な者が選ばれるということ。そしてもしも不備があったら(子供にハウスの正体がバレる、脱走者が出る等)即時に解体される、というのも考えられます。冷徹そうなイメージのあったママが一気に「人」に感じられるラストですね。
 彼女も生き残りをかけているのですからエマとノーマンの脱走計画はそう簡単にはいかないでしょうね。



 と、ここまでスルーしてきましたが、子供たちにテストを受けさせていた理由が今回あっさりネタバレされてしまいましたね。頭がいい人間の脳みそは美味しいらしいです。
 ……なんだそれ(笑)と思わないでもないですが、この設定は面白いので好きです。能力の高い子供を育てて出荷するんですからリスキーでしょうしテストを受けさせたところで能力が高くなるとも限らないので高級品にもなりますよね。

 なかなかジャンプにはない展開で面白いのでわくわくするような心理戦を見せてほしいですね~。しいて言うなら表情の表現をもっと説得力のあるのあるものにしてもらえたら……というのは週刊誌には厳しいですね(笑)今のままでも十分可愛くて綺麗で見やすいです。

 来週あたり、レイが関わってきたら嬉しいです。

『ジャングルブック』 感想

 楽しみにしていた『ジャングルブック』を見てきました。良くも悪くもアニメの方のジャングルブックを思い出させる作品。

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●感想(ネタバレ注意)
 見終わった後の何とも言えない感覚が昔見たアニメ映画の『ジャングルブック』を見た後の感覚を思い出させてくれました。要するに可もなく不可もなく大人が見るには物足りないけど子供が見るには楽しい内容だと思います。シンプルなストーリーだから分かりやすいしね。

 ただ、チラシにあった「生きる力が溢れ出す」みたいなキャッチコピー。別に生きる力は溢れ出してこなかった(笑)


 ストーリーに関して、アニメと大きく違ったのはやはりラスト。モーグリが人間社会に帰らないところです。この点はもっと上手く処理してほしかったなあと思います。

 モーグリは確かにジャングルで育ち、動物たちと会話する《特別な》《人間》です。そう、《特別》であっても《人間》であることには変わりなく、この物語のキーでもある動物たちが恐れる《赤い花》=《火》を操る《人間》なんです。クマや狼、黒豹といった種族の壁よりももっとずっと大きな壁として存在する《人間》と《動物》の壁。

 アニメだとモーグリが人間の女の子に一目惚れしてしまって人間の村に行くというエンドだったように記憶しています。これはなかなか生々しくて、初めて見たときにぎょっとした記憶(笑)

 そういう生々しさである必要はないのですが、この映画でも《道具》を使うモーグリは《狼》として、ひいては《ジャングルの動物》としてズルをしていることになる。しかし宿敵シアカーンと対峙する時は《道具》を使って戦え、つまり《人間》として戦えと背中を押されるのです。
 そしてシアカーンを倒した後、冒頭と同じように追いかけっ子をするモーグリと狼の子どもたちですが、もうモーグリは《狼》らしくするのではなく《人間》らしく頭を使うことに自信を持っている様子。きっと彼の中で自分の人間としてのアイデンティティが生まれたのかな、と感じるシーンでした。

 じゃあ人間社会に帰れば?と思ってしまったことをここに告白します(笑)
 この映画だと《ジャングルの動物》としてではなく《人間》としてのモーグリがジャングルの仲間たちに認められた、ということなのかなと解釈していますが……。

 個人的にはジャングル育ちの《人間》モーグリの冒険であってほしかったというか、《ジャングルの仲間》の人間モーグリというのがなんとも違和感でして。
 《人間》らしい賢さを持つモーグリとあくまでも《動物》であるジャングルの仲間たちの間にそびえ立つ高い高い壁はそう簡単に乗り越えられるものじゃない、いつかモーグリは人間の社会に帰らなければならなくなるのでは、と無粋なことを考えてしまいました。


 けれど個人的に嬉しかったのが、ミュージカルではないけれど大好きな2つのナンバーが本編で歌われたこと!
 1つはクマのバルーが歌う「The Bare Necessities」です。何度も何度も聞いたこの曲がモーグリとバルーが歌ってるだけで感動してしまいました(笑)
 もう1つは猿のキングルーイが歌う「I Wanna Be Like You」で、こちらはアニメよりも威圧感ありました。多分いかつい絵面のせいですね。アニメだとあんなに陽気なナンバーなのに陽気さがなくて驚きました。

 ディズニーミュージックは頭に残りやすく、ついつい口ずさみたくなる音楽が多いのでアニメのジャングルブックの魅力はこの二曲だったように記憶しています。ですから実写版でよくぞ残してくれた!と思わず親指を立てたくなりました。
 しかしアニメを見ていない人からすればなんで歌いだしたんだ?と困惑したんじゃ……。

 そして、歌という点ではカーの「Trust in Me」が歌われなかったのは少し残念でした……が、エンディングで歌っていたので満足です!
 でもちょっと気になったのはカーがメスになっていたこと。あれカーってメスだったっけ、とそればかり気になってしまいました。もしも本編で歌われてたら少年を誘惑するお姉さんみたいな犯罪臭しただろうなと思うセクシーボイスでした。調べたらスカーレットヨハンソン。なるほど。


 以下、キャラクター別感想。

モーグリ(ニール・セディ)
 2000人の中から選ばれたニール・セディ君、周りが全てCGなのに生き生き演じていて見ている時は違和感なく物語に入っていけました。凄い。

 しかしモーグリは賢い男の子です。
 道具を使う、火を使う。そういった人間的な賢さではなく、感情の抑え方と表現すればいいんでしょうか。少年らしい感情も見え隠れするのですが、一方で一歩引いたところから自分の立場を見ることができる男の子として描かれているように思います。物分りがいい、というよりも健気な印象でした。

●バギーラ(ベン・キングズレー
 格好良い黒豹のおじさん。幼いモーグリをジャングルの仲間として迎え入れ狼の群れに預けた彼は遠縁のおじさんといった存在なのでしょうが、モーグリを見るその目は父親のそれでした。
 アニメだともっと世話焼きだったように思いますがこちらでは見守る感じですね。全体的に。しなやかな黒い毛並みの体が美しいです。

●バルー( ビル・マーレイ
 陽気なプーさんクマさんでした。はちみつ、どこかな。
 怠け者でマイペース、でもどこか抜け目ないバルーがモーグリに親愛を向けていく様子が微笑ましく、ぜえぜえ言いながら崖を登るところは可愛いです。ちなみにあのシーンはバギーラの格好良さも素晴らしかったです。

●ラクシャ(ルピタ・ニョンゴ
 格好良いお母さんでした。印象的だったのはシアカーンにカッコウと皮肉られるシーン。あの怒りとも動揺ともとれる反応にドキッとしました。
 シアカーンの言うとおりラクシャはカッコウを育てる親鳥同然なわけで、自分の子どもたちとモーグリの間の大きな隔たりをラクシャも感じていたはずです。私はきっと道具を使うモーグリに《脅威》を感じることだってあったんじゃないかと思います。あくまでも想像ですが。
 それでもモーグリを自分の子どもだと言うラクシャは強い女という感じですね。

●シア・カーン(イドリス・エルバ
 火で片目に傷を負った虎で本作の敵ですが、残念ながら傷が分かりにくい。その分ちゃんと(?)その傷を見つけてしまうと少しぎょっとする仕様になっていますね。
 なんとなくジャングルの中でもラスボス的な立場のシアカーンですが、残念ながら彼が一番正しい気がしないでもない。少なくとも最初はモーグリは脅威だからジャングルから追い出せ、じゃなきゃ殺すって感じでしたからね。彼の一番《敵》らしいところは人間社会に戻ろうとするモーグリを執拗に殺そうとし、そのためにアキーラを殺したところですね。アキーラがふっとばされた時、とても驚いた。

● キング・ルーイ(クリストファー・ウォーケン
 デカイ。驚きました。サイズ感間違ってない?と聞きたくなるぐらいデカイ。オランウータンじゃないだろと思うサイズ感。
 そして威圧感凄い。デカイから威圧感すごいのか、それとも本作ではそういうキャラでいくのか、と思っていたらどうやら両方らしい。アニメだと人間になりたいちょっと風変わりな猿で陽気に歌い踊るイメージだったので……。まさかあの陽気な歌があんな威圧感たっぷりに歌われるとは。
 そして、やっぱりデカイ(笑)

●カー(スカーレット・ヨハンソン
 セクシーボイスの性転換した大蛇。もともとシアカーンの手下だったのが一転してモーグリの捕食者かつモーグリの出生を語る役割を担うキャラクターに。劇中では歌っていませんでしたがエンディングでは色っぽく歌ってました。この為に設定変えたんでしょうか……?



 凄く期待して見に行ってしまったので拍子抜けしてしまいましたが、概ね楽しめました。でもリピートはしないしブルーレイも買わないと思います。吹き替えは迷いますが……バルーの声がただの西田敏行なのでやめておこうかと(笑)

 最近のディズニーは実写リメイクがブームらしいので次のリメイク(確か美女と野獣)にも期待したいです。特に音楽。


●スタッフ

監督:ジョン・ファヴロー
脚本:ジャスティン・マークス
製作:ジョン・ファヴロー, p.g.a
   ブリガム・テイラー, p.g.a
製作総指揮:ピーター・M・トビヤンセン
      モリー・アレン
      カレン・ギルティリスト
撮影:ビル・ポープ, ASC
プロダクション・デザイン:クリストファー・グラス
編集:マーク・リヴォルシー, ACE
衣裳:ローラ・ジーン・シャノン
視覚効果スーパーバイザー:ロバート・レガート
音楽:ジョン・デブニー

●キャスト
モーグリ:ニール・セディ
バギーラ:ベン・キングズレー
バルー:ビル・マーレイ
ラクシャ:ルピタ・ニョンゴ
シア・カーン:イドリス・エルバ
カー:スカーレット・ヨハンソン
アキーラ:ジャンカルロ・エスポジー
キング・ルーイ:クリストファー・ウォーケン

八月納涼歌舞伎@歌舞伎座(2016/08/11)

2016/08/11 8月納涼歌舞伎@歌舞伎座
第三部
土蜘蛛
廓噺山名屋浦里

 今更ですが8月11日に歌舞伎を見に行きましたので感想を。
 歌舞伎初心者なので感想が頓珍漢かもしれませんが許してください(笑)

一、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

土蜘退治伝説をもとにした松羽目物の荘重な舞踊劇
 病の床に伏せる源頼光のもとへ、典薬頭の薬を届けに侍女の胡蝶がやって来ます。頼光の所望に従い胡蝶が紅葉の様子を物語ると、頼光は一時病のことを忘れます。その後、胡蝶が去り再び苦しむ頼光の前に、どこからともなく智籌と名のる僧が現れ、病平癒の祈念を申し出ます。しかし、灯下に映る智籌の怪しい影に気づき頼光が刀で斬りつけると、土蜘の精の本性を顕し消え失せます。そして館の庭では番卒たちが土蜘退治を祈願し、巫子は諫めの舞を舞い始めます。一方、土蜘退治に向かう保昌が四天王とともに智籌の血潮を辿り東寺の裏手に着くと…。
 智籌の漂わせる不気味さ、千筋の糸を投げかけての勇壮な立廻りをご堪能ください。

二、廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)

堅物の田舎侍と吉原随一の花魁が魅せる人情噺
 江戸留守居役の寄合で、江戸の流儀に馴染めぬ酒井は、次回は自分の役宅で国の行く末を語り合おうと提案します。しかし、次回は互いに馴染みの遊女を紹介する趣向だと告げられたうえ、国元の踊りを笑われ、主君の悪口まで言われた酒井は、次回は自分も馴染みの女を紹介すると言い切ります。その直後、吉原一の花魁、山名屋浦里と偶然に出会った酒井は、ある決意をして山名屋へ乗り込むと、主人の平兵衛に、浦里に会わせてもらいたいと懇願します。丁重に廓の掟を説く平兵衛らのもとに、意外な人物が姿を現し…。
 笑福亭鶴瓶新作落語「山名屋浦里」を題材にした新作歌舞伎にご期待ください。

(公式HPより引用)

●感想
■土蜘蛛
 初めて見る演目でしたので取り敢えず字幕ガイドを利用しました。しかしちょっと失敗だったのは、今回はA席だったのですが端の方だったので字幕ガイドを見ているとせっかくの舞踊が見れない!! しかし字幕ガイドの解説がないと舞踊が理解できない!! 初心者は最初に予習しないとだめですね……。

 さて、最初の場面ですが、頼光が登場するということでもや~っと頭の中で想像した姿はおじさまかお爺さんでした。しかし登場すると結構若い姿でしたので少し驚き。これは後で気が付いたのですが、完全に頼政とイメージがかぶってしまっていたみたいです。他の登場人物に関しては保昌がなかなか格好良くて一目見て彼が主人公なのかな、と感じました。あと、小姓の音若が本当に若くて声変わりしてなくて可愛いです。

 そしてここでは舞踊が主なわけですが……正直眠かったなかなか難しいなあと思いました。字幕ガイドをチラチラしながらですから集中出来なかったというのもあるかもしれません。隣の方も爆睡していて……しかし隣の方に関しては少し思うことがあったのでここでは割愛。
 舞踊に関してですが、病に伏した原因を回想する頼光が優雅で抱きしめるような仕草がぐっときました。オペラグラスを使用しなかったので表情までは確認できませんでしたが、もしもまた観劇することがあったら表情も確認したいなあと思いました。しかし、女の人の舞が紅葉の名所に関するものらしいけど……うーんよく分からず(^_^;)

 でも! 智籌! 花道にぬっと現れる感じがなんとも格好良く、智籌の舞は眠くならなりませんでした。そしてその正体が小姓にばれてからの舞が格好良い! 手から糸を出すのが綺麗でしたね~。これを見に来た!! と興奮します(笑)あと、忘れてはならない智籌を退ける頼光。めちゃくちゃ格好良いじゃないですか。さすが頼光。


 そして途中の箸休め。小さい子がとにかく可愛い。内容もコミカルでとっつきやすいというか、構えなくていいというか。それまでの眠気(ごめんなさい)も吹っ飛びました。えいえい、みたいに手を振る仕草の可愛さ、プライスレス。


 箸休めが終わるといよいよ土蜘蛛を退治する場面! しかし初心者丸出しの感想なのですが、この場面はてっきり頼光が活躍するんだとばかり思っていたので……保昌と四天王なのですね。名前しか聞いたことのなかった頼光ですが、平安ゴーストバスターズというイメージのせいか彼自身がばったばったと妖怪を退治していくんだと思ってました(笑)
 というか蜘蛛塚。なんだろうあの蜘蛛塚。舞台セットの豪華さというのはあまり気にしないのですが、あの蜘蛛塚は少し笑ってしましました。なんだか……とっても…チープ。加えて気になってしまったのが四天王台詞全員名乗れていなかったというところ。うーーん。これ大丈夫なのかなあと不安になってしまいました。

 しかし!殺陣が始まると魅入ってしまいました。少年漫画っぽさも感じられるような圧倒的な土蜘蛛の存在感に字幕ガイドも見れず。あのギャグみたいな蜘蛛塚(笑)も気にならなくなっていました。凄い。おかげさまで字幕ガイドが見れなかったので気がついたら倒されていたのですが、見終わった後もしばらくぼーっと余韻に浸ってしまいます。歌舞伎のパワーってすごいんだなあとしみじみ。


廓噺山名屋浦里
 こちらは新作ですね。歌舞伎にネタバレという概念はないと思っているのですが、新作なのでその辺ちょっと感覚つかめないのですが……一応ストーリーに触れた感想ですのでご注意下さい。

 実はこの「新作」という響き、ちょっと不安だったんです。過去に見た歌舞伎(といっても少ないのですが)の中で字幕の必要がなくセリフも聞きやすいものがいくつかありました。一つは『落窪物語』でもう一つが『鵺退治』です。その二つが私には合わなかったというか……。落窪物語はお酒飲んだ姫が最強になるというストーリーに釈然としなかったし、鵺退治は肝心の鵺がお粗末な着ぐるみだったものだから頼政と鵺が戯れているようにしか見えなかったんです。だから今回の新作も演出、ストーリーともにイマイチだったら嫌だなあとハードル下げてたんですね。
 しかし実際始まってみると、今まで見た中で一番好きかもしれません。

 ポイントは分かりやすさ。字幕いらずでちゃんとストーリーに入り込めるというのも多きな要因の一つです。が、何よりもストーリーそのものの魅力が大きいと思います。何のひねりもなくオチまで読めてしまう実にシンプルなストーリーの中で、笑わせるポイント、泣かせるポイントがあり、ぐいぐいとその世界に引き込まれる。そして登場人物、特に酒井と浦里というキャラクターの魅力が心に残る。幕見でいいからまた見たいと思わせる演目でした。オペラグラス持ってきていなかったのを激しく後悔(笑)


 以下、登場人物別の感想を。

宗酒井十郎勘九郎
 登場からして彼の生真面目さを感じられました。あの早口でべらべらとお堅いことをちゃらんぽらんな上司に浴びさせる様子がなんだか微笑ましいような気持ちになります。あ~きっと彼は真面目なんだろうけど空気読めないんだろうなあというのが伝わってくる。そして主君を侮辱されたときのビシビシ伝わってくる怒気。何故か息を止めてしまった(笑)

 けれど直後の浦里に一目惚れしてしまうシーン! 花火が打ちあがる! なんて分かりやすい演出! そこがいい! ここで酒井の時間がピタッと止まってしまっていて、是非ともオペラグラスで見たかったのですが、絶対目を見開いてたんだろうなあと想像しています。それぐらい浦里に心奪われていて故郷に奥さんいるんでしょとか思わなかったしもしかして初恋なのかと思いました。まさに少女漫画。少女漫画あんまり読まないのでイメージですけど。
 その後もどこか夢うつつな酒井。頑張れ頑張れと応援したくなる可愛らしい生真面目さです。

 その後も酒井の生真面目さに何度も笑わせてもらいました。個人的ベストシーンは山名屋の前で声を小さくしてしまうところ(笑)分かりやすく一人で勝手に気まずい気分になってる酒井が可愛らしく思えてきます。

 そしてなんといっても寄合で浦里が登場するシーン!! あの腰を抜かして、それでも虚勢を張るけどやっぱりビビってしまっている酒井。あの瞬間が最高に輝いていたと思う。勿論個人的な意見ですが(笑)
 だって綺麗な浦里に寄り添われて体こわばらせて「ひえ~~~」って。「ひえ~~~」って言ってたかはもう記憶が曖昧になっているのですが、遠目から見ても分かる「ひえ~~~」感。最高です。


 と、ここまでいかに酒井が生真面目でなんだか応援したくなるヘタレ予備軍な愛すべきキャラクターかを語ってきたつもりでしたが、彼はやはり誠実なんですね。浦里に一目惚れしてしまった、と書きましたが、それは恋愛感情ではない、と。浦里の気品に惚れたのだと。台詞の詳細は忘れてしまいましたがそんなようなことをしどろもどろになりながらもやっぱりヘタレっぽく一所懸命に口にする姿は心打たれます。
 存在しか登場しませんが酒井の奥さんは幸せ者だなあと思ってしまいました(笑)



花魁浦里七之助
 浦里に関してはめちゃくちゃ綺麗でめちゃくちゃ格好良い。この一言につきます。たぶんこの演目の中で一番男前。語弊がありますが、男っぽいとかそういうのではなく。内面イケメンってやつです。お姿は本当に綺麗でした。真っ直ぐ前を向いて「この人(酒井)は私が惚れた唯一の人だから!」みたいに宣言する場面は痺れました。格好良すぎ。
 それなのに自分の身の上話をするときはなんだか可愛らしく見えてしまい……。この人本当に男?本当に魅力あふれるキャラクターです。

 浦里の幼い頃の健気さであったり、苦労であったりを話すときはおそらくは年相応(何歳なのかは知りませんが)なのだろう心の弱さのようなものを見せています。弱さといってもメンタルが豆腐というわけではなく、人並みの心の柔らかい部分を見せているということなのですが、それがお里の言葉でとつとつと話す姿にグッときます。そしてそれを隠し、毅然とした美しい花魁姿をみせるそのギャップには目を見張りました。ただの田舎娘が「花魁浦里」に変化する姿は間違いなく格好いい。
 それでしかも、ちょっと酒井の奥さんに嫉妬する姿が可愛らしいって。本当何なんでしょうか。可愛い。


友蔵駿河太郎
 ちょっと辛口な感想なのですが……ちょっと演技が浮いていたような。お調子者で喧しい役どころなのでしょう。が、うるさすぎ(笑)せめてもうちょっと緩急を付けてくれたらよかったのになあと思ってしまいました。(なんだか上からでごめんなさい…)



 他の役者さんはちょっと記憶が劣化してきているので割愛しますが、平兵衛は貫禄あって格好いいなあと思いました。



 また暇があれば浦里だけでも幕見で見たいです。

ジャンプ『約束のネバーランド』第二話 感想(ネタバレ注意)

 楽しみにしていた『約束のネバーランド』の二話。今回は状況説明回でしたね。ようやくノーマンとエマがハウスの異常性に気が付き、どのように脱出をするのかを探っていきます。ということでいきなり感想から。



 今回は気になった点が沢山ありました。

 テストは割とハイテクっぽい雰囲気でしたがその他日常生活はだいぶアナログであり「違和感」として紹介されています。いや、君たち賢いんだし外の世界は「それなり」に知ってるみたいなんだからそこは気付こう?というのは野暮でしょうか(笑)
 しかしハウスの外は、彼らが本で得た知識=読者の想像する「普通の世界」とはかけ離れた世界である可能性が一気に高まったように感じられました。なんせ『鬼』がいるわけですからね。
 そしてエマたちが気にしていたようにテストの意義。現段階ではエマは自分たちハウスの子供を『食用人間』と表現していますが…それ以外の使用方法もあるでしょうね。労働力とか。

 なにはともあれどうやら前回から気になっていた『テスト』の意味、そして子供たちに隠された『外の世界』はキーになる模様。
 予想できる外の世界は
・『鬼』に支配された世界。ママのように『鬼』に仕える人間と『食用』にされる人間とが存在している。
・『鬼』と『人間』が対立した世界。その中でママは『鬼』勢力側の人間。
・『鬼』はいわゆる『新人類』であり、技術が進歩し格差が極端に広がり同じ人類の中でも捕食関係が生まれてしまった世界。
……この3つでしょうか?

 施設の設備を『あえて』アナログにしているのか、『前時代の遺物のリサイクル』なのかというのも地味に気になる点ではありますが…。ママが持ってるレーダーのようなものがどうにも近未来っぽく見えないので(笑)案外外の世界はスチームパンク世界観に近いものが登場するかもしれません。


 あと、もしママが常に子供たちの居場所を把握できるように発信機的なものを仕込んでいるとすれば、エマとノーマン大ピンチです。絶対鬼を見たのも塀の近くまで行ったのもバレてるじゃないですか……。逆にばれてないとしたらママは相当うっかりさんかレーダーがポンコツか、実はママは見逃そうとしているかになっちゃいますし。
 どうやら二人はレイにこのことを打ち明けていないようですし、協力者は増やした方がいい……。というか今のところレイが空気なのでこれからの見せ場が楽しみです(笑)

 

 ところでしっかり者のノーマンですが、やっぱり平気そうな顔してママが自分たちを家畜扱いしていたこと、そして自分たちが家畜同然だったことにショックを受けている様子。そのせいで手が震えてしまっていてもそれをエマには気付かれないように(気付かれてますが)振る舞う健気さ。かっこいいですね。彼は死亡フラグが立っているようにしか思えません。天才で責任感が強いノーマンの今後の活躍に期待しているので死亡するのはもっと先がいいなあ、なんて勝手に思ってます。

 ママの正体の掘り下げとレイの活躍を期待して一週間楽しみに待つことにします。

映画のチラシを沢山もらったので……

 アリスを見たときに沢山チラシをもらったので気になったものをピックアップしてみました。
 とりあえず公開順に……


·ルドルフとイッパイアッテナ
8月6日公開


 小さい頃読んだから気になっています。ルドルフがイッパイアッテナに運ばれてるの微笑ましい。けど絶望的なまでのコレジャナイ感のキャラデザ。単純に好みの問題です。これはCGにしない方が可愛かったのでは?
 日本中の家族をあたたかな感動で包みます!!という煽り……覚えてないけどこの原作に感動した記憶がないので不安要素しかないのが正直な感想です。

 ……評判見てから決めようっと(笑)


·ジャングルブック
8月11日公開

 前にトレーラー見たらディズニーアニメのベアーネセシティ流れてもう見るしかないなと思いました。

「今、あふれ出すーー生きる力。」
うん、こういうお話は好みです。太陽バックにモーグリと動物たちというビジュアルとお母さん(狼)とモーグリが額コツンとしてるのも凄く綺麗。とてもこれがモーグリ以外フルCGとは思えない。


·アイカツスターズ
8月13日公開

 キャラデザが好みで、全員可愛い!特に黄色グラデの女の子好みです。
 アニメ見てないしアイカツやってないけど見れるかなあ……?

「ふたりなら最強☆」
友情もの?女の子のアツい友情モノは大好きだから気になる。問題は小さい子に囲まれて一人映画を見ることになるということ(笑)池袋あたりだったら大きなお友達沢山いそうだからそっちで見ようかな……。


·ゴーストバスターズ
8月19日公開

 これこれ!映画のPVは評判が悪かったらしいけど前作が最高に面白いB級映画だったから気になります(笑)

「夏だ!オバケだ!バスター開始!絶叫《ゴースト・アトラクション》上陸!」
煽りがいかにもB級映画って感じがして期待値は限りなく低くなっていくけどなぜか見なきゃって気分になるからシリーズものってすごいよなあ。


·スーサイドスクワッド
9月10日公開

 チラシなくなってました。残念!
 ハーレイクインが可愛いので気になってます。だってあのパンクな見た目にサイコ設定って!武器がバットって!ちなみにアメコミの方は読んだことがありません。

 あと、個人的にはティム・バートンジョーカーが好きだから今度のジョーカーはどうなるのか期待と不安でいっぱいです。


·レッドタートル ある島の物語

 シンプルなイラストが綺麗です。
鈴木敏夫のインタビューは監督が頑固、よく言えばこだわりの強い人なんだってことは伝わったけれど、内容が分からない(笑)

「どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?」
なるほど、こういうテーマのお話は大好きです。
 きっとエンターテイメントとしては楽しめないのだと思う。でも見終わったあとの余韻というか、そういうのを楽しめる作品なんじゃないかな。
 気になります。


·怒り
9月17日公開

 いかにもドロドロサスペンスって感じしますね!三つの軸がありそれがどう絡んでいくのか、気になります。

 ただ、後味は悪そう(笑)


·BFG
9月17日公開

 だめな気がする(笑)
 でもカラフルな巨人の卓上は可愛いから映像を楽しめるかも。

 評判を見てから見るかどうか決めたいです。


·少女
10月8日公開

 一面の白い薔薇に清楚な制服を着た二人の少女。耽美っぽい。でも湊かなえだからきっと後味が悪いに違いない、と思いました(笑)
 思春期独特のドロドロした感じ嫌いじゃないけど……ビジュアルは好みの耽美だからとりあえず原作読んでみようと思いました。


·モアナと伝説の海
3月10日公開

 邦題がダサいのですが……。メリダと恐ろしの森と同じセンスを感じてしまって嫌な予感がします。

 しかし一番気になるのは、

「リトルマーメイド、アラジンでディズニーの黄金時代を築いたジョンマスカー監督とロンクレメンツ監督。永遠のミュージカルナンバーを生み出してきた彼らならではの珠玉のオリジナルソングが、奇跡の映像美をドラマティックに彩ります」

という部分。特に書いてないけど音楽はアランメンケンなのでしょうか。美女と野獣やリトルマーメイド、アラジンなどなど、メンケンの楽曲は大大大好きなのでもしそうだったら嬉しいです。

 とりあえず最近のディズニーアニメはあたりが多いから見ようと思います。

『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』 感想

 今更ながら『アリス』見ました。思っていたよりも面白かったです。

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●あらすじと簡単な感想(ネタバレ注意)
 簡単に言ってしまえばアリスがマッドハッターを助ける話でした。アブソレムの助けに応じて鏡を通して再びアンダーランドに訪れるアリス。前作でお馴染みの仲間たちに再会すると彼らは、マッドハッターの様子がおかしい、アリスなら彼をもとの彼にしてくれるはず、と言います。

 ここのシーン、とにかく美しいんです! 白の世界に淡いピンクの桜が満開で「大画面で見てよかったなあ」「映画館で見る映画はやっぱり素敵だなあ」と思う瞬間です。
 そしてアンハサウェイ扮するミラーナ、相変わらず美しい…!あの鬱陶しい独特の動きはちょっと抑えめかな?


 ともあれマッドハッターのもとを尋ねるアリス。彼は死んだと思っていた彼の家族がまだ生きているに違いないと言い張りふさぎ込んでしまっています。アリスはもう家族は死んだのだと慰めるがハッターは君は僕のアリスではない、出ていけと自分の殻に閉じこもってしまうのですが……ジョニー・デップ、老けました。ちょっとびっくりしてしまうぐらいに老けていて……。
 ここのシーン、ふさぎ込んだハッターの色彩が全体的にくすんでいて、もう彼のイッちゃっている感じがぱっと伝わってくるのです。
 が、それ以上にジョニー・デップ自身が老けてきているのも相まってかとても痛々しい。ありゃあ心配になるわ。


 そんな痛ましい彼を助けるためにミラーナが思いついたのは《時間を遡る》こと。なんでも《タイム》が持つ《クロノスフィア》があれば過去に飛べるのだとか。しかしアンダーランドの住人がそれを使い過去の自分に出会ってしまうとアンダーランドが破壊されてしまう。アリスしかそれを使うことはできない。それを使ってハッターの家族が死んだ時まで遡り助ける、という算段です。

 完全にアリスは暴走してますね。ここのアリスの暴走についてはちょっと思うところがあったのでここでは割愛。
 

 そしてアリスは《タイム》の城を訪ね《タイム》に《クロノスフィア》を貸してくれないかと頼みます。しかし《クロノスフィア》はアンダーランドの時間を司る《大時計》を動かすエネルギー源です。《大時計》と一心同体の《タイム》はクロノスフィアを貸すことなどできるわけもありません。

 一回はタイムに断られるアリスですが、それで諦めるアリスではありません。タイムのもとを訪ねた赤の女王イラスベスを見て驚くと同時に隙を見てクロノスフィアを盗みタイムトラベル!

 クロノスフィアに乗ってタイムトラベルするシーンには驚きました。まさかクロノスフィアが乗り物になるとは(笑)
 そして時空の描き方がカッコイイこと!なるほど、時空=波なのね。そして時間の《波》の間をクロノスフィアに乗って飛び回るアリスとヨットみたいなのに乗るタイムのカーチェイス(車ではないけど)はタイムが完全にイッちゃってて面白いです。頭おかしいだろって笑い声でした。陽気にクレイジーなタイムさん。好きです。


 そんなこんなでカーチェイスを繰り広げつつアリスは
イラスベスの戴冠式の日

イラスベスら姉妹の少女時代

ハッターの家族が殺された事件の日
の順に遡ります。

 そこでアリスは姉妹の確執とイラスベスがハッターの一族を恨み事件の日に復讐のために彼らを捕らえたこと、そして例えアンダーランドの住人でなくとも過去が変えられないことを知ります。

 うーーん……まさか姉妹の確執を描くとは。普通にイラスベス可哀想だし、少女時代は両親に愛されてるしで、続編を作るにあたって作った設定なんだろうなあと感じちゃいました。前作との矛盾はそこまで感じられなかったのでまあいいかという感じですが…。
 少女時代の事故で頭が腫れ、そこからずっと馬鹿にされ続け、戴冠式では大衆の面前で笑いものにされたらキレるよなぁ、イラスべス悪くないじゃん?と思ってしまいます。
 しかしそれで首を刎ねよ〜ってなるのはそりゃ王の器じゃないから父親が妹のミラーナに後継を決めたのも納得できます。


 ともあれアリスはまだハッターの家族が生きていることを知り、ミラーナやハッターはじめとするお馴染みの仲間たちと共にイラスベスのもとへ駆ける!薄々感じてはいたけど白ウサギやらチェシャ猫は完全にモブです(笑)

 ここは以外にもあっさりと無事にハッターの家族を見つけます。小さくなった家族、可愛い(笑)
 しかしあっさり見つかるなんて言うのは十中八九罠ですよね。はい、やっぱり罠で、イラスベスに捕らえられクロノスフィアを奪われてしまいます。
 ちなみにこの時、タイムもイラスべスに捕らえられています。おじさん、非力かな?


 イラスベスはミラーナを連れて問題の少女時代へ。そしてそこで少女時代の自分の前に出てしまいます。フラグは回収されました。イラスべスが幼い自分の前に表れたその瞬間、彼女は赤い錆になってしまいました。そして彼女だけではなく、世界そのものが赤い錆びに覆われていきます。
 ここの描写、ヒエっとなりました。なるほど、世界が崩壊するって世界が赤い錆になってしまうのね、と。

 色々割愛させて頂くと、なんとかアリスが頑張ってクロノスフィアを大時計に戻してアンダーランドの崩壊を止め、姉妹も和解しました、という流れ。
 ラストはアリスがタイムにクロノスフィアを盗んだことを謝り父の形見である懐中時計を渡し、現実世界では母親のため父の船を手放すことを決意します。……って言っても最後は母親が契約を破棄して新しい会社を起ち上げます。

●感想
 悪くないです。悪くないですが、前作アリスインワンダーランドを期待しているとがっかりするかも? 良くも悪くも素直なお話でした。どんでん返しな展開とか意外性とかはないです。
 それでもそこそこ楽しめたので名作ではないものの良作という感じでしょうか。

 前作では隠れていた、あるいは隠されていたアリスの「アリスらしさ」を見つける話(それがテーマとは言わないけれど)だとすれば、今作ではアリスが前に進む話。つまり成長物語。アリスは過去=父親に囚われすぎていた自分に気付き未来と今=母親に向き合うようになった、という感じでしょう。監督が変わって方向性も少し変わったのかな?

 しかし、姉妹の確執えらくあっさりしてるがそれでいいの?っていうのが正直なところ。
 粗は目立ちますが、そこに目を瞑ればそれでも幼い頃に謝ることが出来なかったミラーナがイラスべスに「ごめんなさい、許してほしい」と涙ながらに訴え「その言葉が聞きたかった」とイラスべスが言うシーンはアンハサウェイの美しさが際立っていてグッときました。
 一方で、その程度で和解できるものだったのか、と拍子抜けしてしまうというのもあります。キャラクター設定的にすぐ和解できそうにないだろ~~というつっこみを入れたい。 

 あと、アリスがアンダーランドに行っている間、なんだか現実世界にもアリスが存在しているような描写がありましたが……ちょっとその設定無理がないかなあ。それだと前作での時間軸であったりだとか、今回の時間軸であったりだとか、色々矛盾が生じてしまいそうな?一回しか見ていないので私自身がなにか見落としているのかもしれませんが……。
 個人的にはその設定いらなかったかなあ、と。


 とまあ、ストーリーには不満がないわけではないのですが、とにかく映像が素晴らしい!前作はティム・バートンワールド全開の映像美でしたが、今回はすっきりとまとまった映像美でしたね。

 以下、特に気になったところを簡単に。

●邦題について
 タイトルについては原題よりも邦題の方が内容にあっていたように思います。それに情緒を感じるかどうかは別として(笑)

 原題は鏡の国のアリス。つまり前作不思議の国のアリスの続編ということを伝えたいのかな、と。でも日本では鏡の国のアリスの知名度は低い、そこで邦題を新たに作ったのかもと思いました。鏡の国のアリスの方がカッコイイけど流石に鏡の国のアリスだと意味不明になっちゃうしね。


●アリスの暴走
 今回のストーリーではアリスが少し暴走気味の様に思いました。前作では想像力豊かなアリスがそれを押さえつけられていましたがアンダーランドにきてそれを開放する。自分自身を取り戻す、というストーリーでした。
 しかし今作では初っ端からアリスは男に混ざり船に乗り、海賊を巻いて立派な船長を務めます。ここまでは前作までの「アリスらしさ」を象徴するかのようなシーンです。

 問題なのは次のシーン。彼女は尊敬する父にとらわれ過ぎています。父親の様に、父親の娘として、といったやや前のめりなアリスが描かれているように感じられました。そしてそれは母親への接し方にも表れています。彼女の中だと父親>母親なのでしょう。
 そしてパーティ―でのドレス。中国で手に入れたというドレスを纏い他人の奇異なものを見るかのような視線も気にしません。母親はちょっと肩身が狭そう。

 このアリスには「私は私の好きなように生きる」という精神ではなく、周りへの反抗心のようなものさえ感じました。私は他の人間とは違うのだ、私はアリス・キングスレーなのだ、と周りに主張しているかのようです。そしてそれはおそらくこの時代の男女の差を乗り越える上での彼女なりの意思表示のようにさえ感じられます。人とは違う衣装は彼女にとっての鎧だったのではないかと。


 そしてもう一つのアリスの暴走ですが、やはりクロノスフィアを盗むのは完全に暴走でしたね。それはアリス、ヤバイよ、暴走しすぎぃ!と思わざるをえませんでした。この時のアリスはもう周りが見えていないのかなんなのか、やる気満々です。

 ここのアリスはもしかしたら自分とハッターを重ねているからこその暴走でしょう。
 勿論クロノスフィアを盗んだ一番の理由はハッターを助けてあげたい、ということです。けれど、死んでしまった家族にあわせてあげたいというのは、彼女自身が死んでしまった父親に会いたいからではないでしょうか。彼女はロンドンで母親に父親がいなくて寂しい、会いたい、と漏らしていたのだから。だから自分のことのように盲目的になれたのだと思います。
 彼女は現実世界で時間は大切な人を奪う泥棒だ、とさえ言っているのですから。


 今作でのアリスの暴走、おそらくアリスにイライラする人は多いだろうなあと思います。それもそのはず、彼女は実にエゴイスティックですから。
 ストーリーの中でアリスがいかにして過去に囚われていた自分を捨てるのかをはっきりと描いていないので「冒険してたらなんか一皮むけました」「過去を無理やり変えようとしても無理みたいなので過去は過去として受け入れることにしました」みたいななんとなく消化不良な感じは否めないのも事実ですが、そこはまあ……深読み技術を駆使していきたいです(笑)
 

●タイムというキャラクター
 この作品の中で一番魅力的だったキャラクターは間違いなく彼でしょう。この《タイム》、なかなかに設定が面白いのです。
 おそらく彼は名前の通り《時間》を司る存在なのでしょう。しかし神ではありません。つまり《時間》そのものなのです。名前もTimeだからtimeという単語が出ると彼を指しているのか時間を指しているのか……もう混乱してしまうのですがそういった言葉遊びもこの映画の面白いところです。……しかし私は字幕で見たのですがが吹き替えではどう処理したのでしょうか?

 ともあれ彼は時間を司っているのですが、その時間とはアンダーランドの住人の時間、つまり生死さえも管理しているらしいのです。とはいうものの、生かす殺すではなく時間切れの者=生を終えた者の時計を生の空間から死の空間へと移す役割。な、なるほど……。

 そんな超越した存在な彼ですが、どこか不遜で、しかし一方でイラスべスのことを一応レディとして扱っているのが微笑ましくもありました。
 初登場ではなんだこのカボチャパンツは?!と思いましたがこの映画を見て一番好きになったキャラクターは彼かもしれません。


●最後に
 私はエンターテイメントに特化した映画が大好きです。一方で重いテーマを扱った非常にメッセージ性の強い映画も大好きです。

 その点この映画はエンタメ作品として、特に映像美や独特の世界観を楽しむ作品だと感じました。好き嫌いはあるでしょうが私は結構満足出来ました。リピートはしないしBlu-rayを買うこともないでしょうが、見て損した~という感情はありません。

 欲を言うならばジョニー・デップの痛々しさがあんまりだったからその辺何とかしてほしいです……(笑)


アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
●スタッフ
監督ジェームズ・ボビン
製作ティム・バートン
製作総指揮ジョン・G・スコッティ
キャラクター原案ルイス・キャロル
脚本リンダ・ウールバートン
撮影スチュアート・ドライバーグ
美術ダン・ヘナ
衣装コリーン・アトウッド
編集アンドリュー・ワイスブラム
音楽ダニー・エルフマン
●キャスト
アリス・キングスレー ミア・ワシコウスカ 
マッドハッター    ジョニー・デップ
白の女王(ミラーナ) アン・ハサウェイ
赤の女王(イラスベス)ヘレナ・ボナム・カーター
タイム        サシャ・バロン・コーエン