裏庭の鶏

映画と本と、時々舞台

マシューボーンの『眠れる森の美女』@東急シアターオーブ(2016/09/20)

 9月20日に東急シアターオーブにてマシューボーンの眠れる森の美女を観劇しました。圧倒されました。

 その日のキャストは以下の通り。

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●オーロラ姫:アシュリー・ショー
●レオ:クリス・トレンフィールド
●カラボス/カラドック:アダム・マスケル
ライラック伯爵:リアム・ムーア


 この日はあいにくの雨模様でしたがチケットを買っていたので濡れながら渋谷へ向かいました(笑)
 しかしヒカリエは駅から直通ですしあまり濡れずに済んだので例え台風でも電車が止まらない限り行けますね!


 さて、以下ざっくり感想を。観劇ど素人の感想ですがご容赦ください。

 幕が上がり最初に目に入った赤ん坊の人形にぎょっとしました。何あれ怖い(笑)。思わずオペラグラスで見たのですがアップで見ると思ったよりも顔がしっかり描かれていてより怖い(笑)。ベビーオーロラ姫はカサカサ動き回って使用人達を困らせます。ここのシーン、舞踊というよりもストプレみたいでした。オーロラ姫に右往左往する使用人たちの動きがとってもコミカルで可愛らしささえ感じる。

 そしてベビーベッドで眠るオーロラ姫のもとに現れる妖精たち! 舞台セットが美しい! 特に大きな満月と妖精たちのシルエットが絵画みたいに美しい。ブロマイド売っていたら(物販は覗きませんでした)買っちゃいそうだなと思いました。
 ただ、バレエの知識が皆無でしたから肝心の踊りに関しては詳しいことは分からず^^;。月並みな感想ですが、妖精たちの踊りや表情が一人一人個性が出ていて、わくわくしました。あと衣装が美しいのと羽に目がいきます(笑)
 それからライラック伯爵も紳士な感じで綺麗でした。これはちょっと目視では分かりにくくて勘違いかもしれませんが、目の周りが黒く塗られていた?のがアライグマみたいで可愛い。

 それから登場するカラボスとその手下! カラボスがとても強そう。カラボスは女性ですが男性が演じています。不思議なこといかにも女装した男性のはずが、だんだん男性のような女装に見える不思議。手下の二人(二頭?)が嬉しそうにカラボスの足元に控えていたのが印象的でした。そういうところも含めて、カラボスが年をとったら絵に書いたような「森に住む恐ろしい魔女」になりそうだなあと思いました。
 しかもこのシーン、多分呪いをかけてるシーンだと思うんですがのっぺらぼうのオーロラ姫が登場するんですよね。怖い。でもこういう演出好きです。
 登場した時はぎょっとしましたが最終的にはなんだか好きになってしまったカラボスですが、彼女すぐ死んでしまうのでちょっぴり残念だったり。

 そして数年後、オーロラ姫は成長した姿を見せますがこれが美しくてさらに可愛らしい! 赤ん坊の時と同じで使用人を困らせているようですが(笑)ベッドの上でぱたぱたと足を動かすその仕草や表情がいちいち可愛い。顔立ちは可愛いというよりも美人という感じなのに、とても可愛い表情をするオーロラ姫というのはディズニーオーロラ姫しか知らない私にはとても新鮮でした。
 しかも、恋する相手は王子様ではなく狩猟番のレオ。紳士ではないしまさに身分違いという感じなのにオーロラ姫がお転婆娘なせいでお似合いカップルになってます。オーロラ姫がレオに帰るように促したりレオが使用人にバレないようにふざけてみたり……い、いったい何を見せられているの、と困惑するぐらいコミカルで可愛いシーンでした。

 そのシーンよりも更に困惑したのが次のパーティのシーン。テニス! ラケットを持ったまま踊る! 白い衣装がとても素敵で美しいシーンでしたがラケットに驚いてしまいました。
 しかし何といってもここのシーンではカラボスの息子カラドックが格好良かったですね。その後の彼は変態っぽく見えたのにこの時点では変態っぽさはありませんでした。ただただ、格好いい。

 印象的だったのは死んでしまったオーロラ姫が痙攣しながら死んでいったこと。めちゃくちゃ怖い。そしてレオがそれを目の当たりにしてかなり怯えていて、貴族たちから逃げ回るシーン。レオは本当に一般人で、ただオーロラ姫が好きなだけのいわゆる「ヒーロー」なタイプではないんだろうなあと思いました。頑張れ!と応援したくなるタイプ。
 死んでしまったオーロラ姫を前にして顔を焦りと恐怖で歪ませているのがゾクゾクしました。突然の出来事だからオーロラ姫を失ったことよりも理解不能な出来事に直面してしまったという表情でした。

 レオかわいそう、頑張れ、と思っていたら門が閉まっちゃってさらにレオがかわいそうな感じに。そこへ現れるライラック伯爵。事前にあまり情報を入れていなかったのですが、確かライラック伯爵が魔法をかけて不老不死かなんかにするんだったかなあと思いながら見ていたら……予想の斜め上に。ヴァンパイアだったの?……(笑)


 そして時は流れ現代に。観光スポットになっているお城と自撮りする若者に思わず笑ってしまいました。流石に自撮り棒ではなかった(笑)
 レオは近くから出てきましたが、パーカー……。馴染んで……る?と思いつつも羽があったのを確認しました。馴染んでませんね。けれどそれ以上にレオはオーロラ姫が眠ってからずっとそこにいたのでしょうか……。きっとそこにいたんだろうし、もしかしたら自分の背に羽があることも気付いてなさそう。なんだかレオには「恋は盲目」という言葉がピッタリな感じします。

 一方カラドックの方はというと、オーロラ姫への片思いを拗らせていました。キスしても起きないオーロラ姫に絶望するカラドック。ここのシーンのカラドックは変態っぽさが凄まじかった。
 変態、変態、と繰り返していますが、執着心のような愛を抱えたまま目覚めないオーロラ姫の近くで長い年月を過ごしたわけですから、まあねちっこくなるのも分かると言えば分かります。自分が殺した(眠らせた)くせに起きてくれと言わんばかりのカラドック。矛盾を抱えているなあ、としんみりしました。好きです。

 その後はライラック伯爵によって扉の中に潜入したレオが紆余曲折を経てオーロラ姫にキスをしたわけですが、ちょっとシーンが前後しているかも。とりあえず扉の向こうは異次元でした。

 キスしてオーロラ姫は目覚めますが、ここでもカラドックの執着心が発揮され……というかこれが狙いだったんだろうと思いますがレオにオーロラ姫を目覚めさせると即彼を外に追いやって自分がオーロラ姫の前に。いやー驚きました。


 次は打って変わってパーティ会場。怪しげな雰囲気です。毒々しささえ感じられます。この辺になると目に入ってくる情報にいっぱいいっぱいになってました(笑)
 そしてやっぱりレオはなんだか振り回されていた感じします。私もレオと同じで展開に振り回されていたのですが、何より気づいたらカラドックがライラック伯爵にめった刺しにされてた。ライラック伯爵は親をカラドックに殺されたんでしょうかってぐらいめった刺しでした。親を殺されたのはむしろカラドックなので逆です。

 ともかく、無事にオーロラ姫とカラドックはむすばれラストはベビー爆誕。直前にベッドにインしてたので驚きました。露骨!


 初めて鑑賞したこともあり衣装にも舞台セットにも、そしてダンスやストーリー全てに圧倒されてしまいました。
 バレエ鑑賞もなかなか楽しいです。もしもまた鑑賞する機会があるならバレエに詳しい人に解説してもらいたいな、なんて思ったり。