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裏庭の鶏

映画と本と、時々舞台

『ゴーストバスターズ』 感想

映画

 今風にアレンジされたリメイク版『ゴーストバスターズ』は絶妙なくだらなさがたまらなく面白かった! お馴染みのメロディーとロゴをスクリーンで楽しめたし、思わず笑ってしまうような要素も盛りだくさんです。
 個人的には発明家のホルツマンがクレイジーすぎて大好きです(笑)


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●感想(ネタバレ注意)
 前作のゴーストバスターズを見ていたので上手くアレンジされていて正直オリジナル版よりも笑えました。たぶん今風のアレンジによって設定が受け入れやすくなったのが一番の要因だと思います。

 具体的に言えば悪役の在り方とNY市民のゴーストに対する意識。この二つはオリジナル二作を見ていて少し違和感があったので今回はうまく料理していたと思いました。おかげで面白いのに設定に関して首を傾げてしまう場面が少なかった(笑)


 さて、本作の主人公は前作と打って変わって全員女性です。最初にそれを聞いた時「フェミニスト映画かな」と思ったのが正直なところだったんです。もともと男性四人のストーリーをわざわざ女性に変更するのは何か意味でもあるのかな、と思いました。もちろん強い女性が輝く映画は好きなのですが、それを押し付けるような映画は「押しつけがましい!」と思ってしまうんですよね。嫌いではないのですが塩梅が難しいなあと思います。
 閑話休題。そして蓋を開けるとメッセージ性なんてかけらもなかった(笑)

 確かに出てくる女性は皆強い。強いけど所謂「女性だって強い、輝ける」みたいなメッセージがあるんじゃなくて、物理的に強い。
 マーベルやスパイ映画の女性みたいなスタイリッシュであったりセクシーであったりするような美女が物理的に強いとその美しさに見惚れてしまうんですが……。なんだろう、ギャグ要素が強いから物理的強さが完全にギャグでした。

 あえて女性にしたのも面白さを追求、もっと言えば前二作との対比としての面白さを追求した結果だった様に思います。


 私が面白いと感じた二つのアレンジについて、その一つである悪役の在り方はより現代的だと思いました。

 今回の悪役であるローワンは人間嫌いで彼自身嫌われ者です。そんな彼がくだらない世界を破壊するためにゴースト達を使おうとするんですね。
 確かローワンはそれを語るときにゴースト達に「復讐しよう」といったことを語りかけていたように思います。もちろんローワンはゴーストの復讐に付き合うために行動しているわけではないのでしょうが、おそらく彼の動機は「復讐」です。
 一方でオリジナル版はどうだったかと言うと、破壊神ゴーザやら大魔王ヴィーゴやら。それはそれで面白かったのだけど、舞台を現代にするなら敵は悪意ある人間であった方がしっくりくる。

 もう一つのアレンジである市民のゴーストに対する態度。前作だとゴーストバスターズがビジネスとして成功していた(少なくとも一作目では)のです。そしてゴーストバスターズも市民から受け入れられていたわけで、そこが大きな違いでした。今回のゴーストバスターズはビジネスとしては失敗していますし、なんなら政府からの要求でペテン師集団とレッテルを貼られてしまいます。
 と、ここの部分はギャグとしても面白いシーンでした。「ありがとう、助かったわ!」と本気で感謝しているのに次のシーンでは「逮捕されて頂戴。でも本当の逮捕じゃないから安心して」と四人を拘束。ちょっと待て(笑)

 ともかく、ゴーストの存在は公には徹底的に否定されるのです。最終的にはひっそりと彼女らの活躍な認められるのですが……モンスターを捕獲するシーンではそれがライブのパフォーマンスであるかのようにされるんですね。映像で発信されても誹謗中傷のコメントが残されるという徹底ぶりです。
 それもなんだか現代っぽい演出だなあと思いました。現代人がやすやすとゴーストを信じるのもなんだかなあって思いますもんね。オカルトブームってわけでもないですし。


 そんな二つのアレンジの中で、繰り広げられるシリアスに見せかけたくだらないストーリーがなんとも面白い。基本的にギャグで成り立っているストーリーなのですが、その中にあるエレンとアビーの幼馴染二人の友情がギャグだけにせず「締める」部分としての役割を果たしていました。別に感動はしませんでしたけど、多分感動させるつもりもないんじゃないかな。ギャグ映画の中のロマンス要素と同じぐらいの気分で見てました。
 
 ラストもすっきり終わって見終わった後に「面白い映画見たー!」と満足感がありました。

 あと、忘れてはいけないのがこの作品に登場する前作の要素。個人的に毎回出てるいつも何か食い散らかしてる緑のゴースト(名前がわかりません)が出てきたのと前作のオフィスが登場したのが笑ってしまいました。緑のゴーストは言わずもがな(またお前か)、オフィスは「またここにオフィスを構えるのかな?」と期待させてからの「高くて借りられなかった」オチ。そしてマシュマロマン。オリジナル版を見て一番笑ったのがマシュマロマンだったのでこの再登場は嬉しい!
 それから、カメオ出演! ちょっと嬉しくなる演出でしたね。でも少しクドいような(笑)
 最後に、続編でも作るつもりなのか、それとも前作へのリスペクトなのかエンドロールの後に「ズールって何?」というやりとりもありましたね。……作るつもりならズールやらゴーザやらをどう処理するのか気になります。


 そんなこんなで大満足の映画でした。以下、キャラクター別感想になります。ちなみに私が一番好きなのはホルツマンです。

● エリン・ギルバート(クリステン・ウィグ
 主人公ポジの科学者。初っ端からゴーストにゲロヘドロぶっかけられたりしてて体張ってるなあと思いました(笑)
 そして四人の中でぶっちぎりに可愛かった。何がって、キャラクターが。

 最初のオカルトにハマってたのは黒歴史!と言わんばかりでした。ちょっと無理して澄ましてるエリンですが、ところどころ残念な感じです。
 それなのにアビー達についていった幽霊屋敷でゴーストに遭遇すると興奮気味に「ゴーストは存在した!」と嬉しそうに叫ぶシーンはうんうんそうだね良かったね、と可愛らしさすらありました。しかしその様子が残っている動画を見られた直後の「なんのことだかさっぱり。え、これ?私じゃないですよ」とでも言いたげな作り笑い。ツボでした。

 開き直ってゴーストバスターズを開業するとアビーと並ぶリーダー役……のはずなのですが、イケメンなケヴィンの前ではポンコツになってしまうエリンです。ポンコツ具合がなんともツボでした。
 初対面のケヴィンにニコニコ笑って何も聞かずに「採用♡」と即答するのが可愛いんです。そしてケヴィンが相当なバカだと分かると真面目な顔で「観賞用に採用したい」発言。観賞用って(笑)

 他にもレストランのガラス張りの窓をドアだと勘違いして開けようとするシーンなど、四人の中ではブレーン担当……になるはずなのに、どうにも締まらないんですよね。けれどエリンはいつでも本気なんです。慌ててるからレストランの窓をドアと勘違いしちゃうし、つまみ出される時はそうされまいとテーブルを掴んでそのままテーブルごとずるずる引っ張られちゃう(ここも地味にツボ)わけです。そこが笑える部分でもあり可愛い部分だと思いました。


●アビー・イェーツ (メリッサ・マッカーシー
 エリンと並ぶリーダー役。彼女はブレないです。エリンと出会って仲良くなりオカルト本を作り、そしてゴーストバスターズを開業するまでブレを感じさせない。精神的なリーダーはきっと彼女だろうと感じました。
 彼女のシーンで一番笑ったのは「空気の抜けた風船」みたいになってるところでしたね。ホルツマンがそう言ってからもう風船にしか見えなかった。

 あと、体を乗っ取られたアビーは表情を変えないものだからなんだか作り物みたいでした。ちょっとアンドロイドっぽさを感じる。乗っ取られたからアビーではなくなってしまったにしろ、アルカイックスマイルのまま仲間を窓から落とそうとしたり首をしめたりする姿は人ではない何かになってました。
 というか、首がぐりんと回転するシーン、怖いよ!(笑)

 でもアクの強いアビーですが、彼女が四人を繋げているような気もします。四人の中では目立つ割に印象が薄いという不思議な感想を抱いたのですが、四人を繋げる存在だったと考えるとそれも納得かも。


●ジリアン・ホルツマン(ケイト・マッキノン)
 クレイジーだった。個人的にはホルツマンに一番心奪われました(笑)

 比較的きれいな顔をしていたけど気だるげににたりと笑って反応に困るような事をサラッと口にしたり空気を読まずに行動したり……。「あっ残念な美人だ」と思った第一印象は間違ってなかったのだと何度も笑わせてもらいました。ちなみに多分彼女の言動に一番翻弄されてたのはエリンでした。エリンの反応含めてだいぶ笑った。
 そんな圧倒的に異彩を放つ彼女は美味しいキャラクターでしたね。ホルツマンの何考えてるかわからない感じ……というか何も考えてなさそうな感じ、大好きです。

 彼女ってアビーの仕事仲間なんですけど、アビーの親友がエリンならばホルツマンはアビーの悪友兼相棒といった感じ。二人でパンパンと手と手を打ち鳴らしてから幽霊屋敷に向かうシーンでは某漫画のピシガシグッグを思い出したというか……。たまに洋ドラとか洋画とかで見るあの動作、何なんでしょうか。なんとなく若者(学生ぐらいの)がやっているイメージなのでおばさん二人がそれをやっているのはシュールでした(笑)

 それから忘れてはならないのが彼女の戦いっぷりです!
 ただでさえマッドサイエンティストっぷりが凄まじいのに戦闘シーンはなんかスタイリッシュ(キャラクター比)なんですね。二丁拳銃をべろっと舐めてゴーストを倒していくのがなんともかっこいい。まさかゴーストバスターズでかっこいい戦闘シーンを見ることになるとは思ってませんでした(笑)

 またケイト・マッキノンさんのクレイジーな役を見たいなあ、なんて思ってしまうぐらい「キャラクター」も「演技」も印象深いホルツマンでした。


●パティ・トラン(レスリー・ジョーンズ)
 バスターズのまとも枠。しかし叔父さんの霊柩車を勝手に持ち出すあたりやっぱりまともじゃない。
 霊柩車の件を除けば一番こちら側のキャラクターだと思いました。彼女の肩にゴースト(モンスター?)が乗っかっちゃったシーンは劇場でも笑いがもれてましいましたね。巻き込まれ型な感じ。きっと誰よりもパワフルな巻き込まれ型(笑)

 乗り移られたアビーをビンタで正気に戻すシーンの力強さ、半端じゃないです。本当に痛そうで痛そうで……笑ってしまいました。
 その割に結構なビビリだったりするのでギャップもまた面白いです。多分オリジナル版のパティにあたる彼もビビリ(だったような気がする)だからこそのキャラ付けだったのかな、なんて思いました。

 で、霊柩車の件は叔父さんと和解できたのでしょうか(笑)というか霊柩車に遺体があったのかどうか気になる……(笑)


●ケヴィン(クリス・へムズワース)
 ただの馬鹿とってもハンサムですね!
 彼のギャグは少しやり過ぎで笑えない部分でもあったのですがロゴのくだりとかコーヒーのくだりとか、あとどちらの写真(笑)がいいかとかのシーンが凄く面白かった。

 最初はイケメンの無駄遣いだなあと思ったのですが、この笑いはイケメンでないと成立しませんね。彼の最高にかっこいい(?)瞬間はエンドロールです。


 多少キャラクター別感想に偏りが出ましたが、どのキャラクターも魅力的でそのどれもが合わさってストーリー全体の面白さが出ていたように思います。
 Blu-ray、DVD含めて最近見た映画で一番笑ったかも。続編が出たらまた見たいし、久々に3Dで見たいと思った作品でした。他に見たい映画があるから3Dで見ることはないでしょうがきっと3Dで見たら無駄に映像に迫力があってもっと面白いに違いない!


●スタッフ
監督・共同脚本・製作総指揮: ポール・フェイグ
共同脚本: ケイティ・ディッポルド
製作: アイヴァン・ライトマン
製作総指揮: ダン・エイクロイド
撮影監督: ロバート・イェーマン
美術監督: ジェファーソン・セイジ
視覚効果スーパーバイザー: ピーター・G・トラヴァース
衣装デザイナー: ジェフリー・カーランド
音楽: セオドア・シャピロ